大木
「白井田七。甕」の生産地レポート
1. 200年の伝統でつくる鹿児島の「黒酢」
こんにちは!和漢の森スタッフの大木です。若葉が目にも鮮やかな季節になりましたね!
これから迎える暑い夏に向けて活躍しそうな健康食品といえば…みなさんは何が思い浮かびますか?
暑さで体がだるい、食欲がないなどの夏バテにも、さっぱりとした風味で食欲をそそり、疲労回復をサポートする「酢酸」や、体づくりの元になる「アミノ酸」「ビタミン」「ミネラル」など栄養素をたっぷり含んだ酸っぱい健康食品…。
飲んでもヨシ!食べてもヨシ!からだにヨシ!の3拍子が揃った、「黒酢」はいかがでしょうか?
今回私たちは日本屈指の黒酢の生産地である、鹿児島県は福山町へ「黒酢の春仕込み」を取材しにいってきました!
見てください!! ずらりと並ぶたくさんの壺!青空の下に、圧巻の光景が広がっていました。
この黒い甕壺(かめつぼ)は、世界でも類をみないという鹿児島ならではの黒酢づくりに使われている壺になります。
福山町で黒酢づくりが始まったという江戸時代後期から200年以上も、この甕壺を使った黒酢づくりは受け継がれています。
壺畑には、黒酢の創世記から使っていたという200年選手の壺も残ってました!! 壺の丈夫さにも驚きましたが、
長い年月を重ねながら、他の壺と一緒に並んで今も現役で黒酢をつくる壺をみたら、この土地の人たちが黒酢づくりを大切に受け継いできたことがわかりました。
今回、取材でお伺いしたのは、創業が1805年(文化2年!!)福山地方で最古の歴史をもつ黒酢屋の重久盛一酢醸造場です。
重久さんのお酢は、昭和47年の鹿児島国体において天皇・皇后両陛下行幸啓の折に、展覧目録品12号として登録をされました。
日本を代表する一級品の黒酢をつくっています。
2.黒酢の可能性を広げる新しい「甕酢」とは
福山町の春の風物詩となっている「黒酢の春仕込み」に合わせて、重久盛一酢醸造場の5代目、重久雅志さんの取材に行ってきました‼
重久さんは、世界にも類をみないという甕壺(かめつぼ)を使った「甕壺造り・露天醸造法」で伝統的な黒酢をつくりながら、
従来の黒酢を見直し可能性を広げる、新たなお酢づくりを行っています。
家業を継ぐ前は、「酸っぱいものが苦手」だったという重久さん。ある日健康診断を受けたことで、お酢の良さを見直す出来事が起こります。
検診結果はなんと、最低ランクの判定!「健康食品をつくってるのに、これではいけない」と奮起します。
それからは、毎日お酢を飲み物にいれて摂るようにしたところ…。1年後の検診でいい変化が見られたことからお酢の良さを再確認したそうです。
自身の体験から、酸味が苦手な人でも摂れるお酢にするために、黒酢の商品改良をはじめました。
研究と試作を重ね、従来の黒酢に含まれる「アミノ酸」をより高めるために、他ではやっていない独自の発酵方法で
黒酢の風味、酸っぱさを解消した、新しいアプローチでつくる「甕酢(かめず)」をつくっています。
黒酢との違いは、ひとつの甕壺の中に「黒酢の原料」+「新たな素材」を一緒に入れて発酵させるところです。
重久さんが甕にいれているのは、「白井田七」の生産者、白井博隆さんがつくる長野産の無農薬りんごです。
一般的なりんご酢は完成した黒酢に、後から果汁を足してつくられるのですが、甕酢では黒酢の原料と一緒に、りんごをまるごと甕壺の中に入れて、一緒に熟成発酵をさせてお酢になります。
りんごをまるごと甕壺の中に入れることで、りんごを無駄にせず、美容効果に期待がもたれる「Dアミノ酸」をはじめとする豊富な必須アミノ酸など、りんごの旨味と栄養もまるごと入った「甕酢」づくりを実現しました。
「黒酢×新しい素材」の組み合わせから生まれた「甕酢」は、毎年その種類を増やしながら、今は10種類の商品が販売されています。撮影の合間に壺畑から見える鹿児島のシンボル桜島と、甕酢シリーズを撮影してみました‼スッキリした細身のボトルに見た目もおしゃれなお酢です。
ちなみに…この中に、世界初の組み合わせで生まれたユニークなお酢があるんです!商品写真の右端、ピンク色ラベルの「薔薇甕酢(ばらかめず)」です。花の女王と称されるダマスクローズの花びらと、希少価値の高いローズウォーターを黒酢に融合させたというお酢は、女性に人気のある商品です。
美容にいいと言われるお酢とバラの組み合わせは、一体どんな味がするのか⁉ ワクワクしながら蓋をあけると…
お酢のツンとした刺激が気にならない、ふわっとバラのいい香りにリラックス効果もありそうだと感じました。アロマみたいに、少し特別な気分になれる素敵なお酢でした。
3.「甕酢」誕生の裏側を取材
黒酢の可能性を広げた、「黒酢×新たな素材」の発酵方法はどのようにして生まれたのか?
重久さんが「商品開発の道がいっきに開けた」という、有機栽培の田七人参を手掛ける白井博隆氏との出会いから始まった「甕酢」づくり。
写真の重久さんの甕酢と、白井さんの田七人参の組み合わせから生まれた、商品「白井田七。甕」の誕生秘話や、生産者としての想いを直撃インタビューしてきました‼
お二人から商品開発の現場で起こったアクシデントや「甕酢」誕生のきっかけとなった、初めて甕壺に田七人参を入れた発酵のエピソードなど、商品の裏側を知ることができる興味深いお話を伺うことができました。
インタビューでは、重久さんと白井さんに共通する、本当にからだにいいものをつくることへの妥協のないこだわりと、商品への深い愛情を感じました。リスクを恐れず、納得のいく本物ができるまで、努力を惜しまず挑戦を続ける。だからこそプロフェッショナルであり続けられるのだと、インタビューからしっかりと伝わってきました。
重久さんと白井さんには春仕込みの合間をぬって、撮影にご協力をいただきました。
4.世界でも類をみない甕酢の製法
福山地方ならではの圧巻の光景といえば!桜島を囲むように広がる真っ青な錦江湾に向かって一面に並べられた、壺・壺・壺!。初めて見た方は、この甕壺(かめつぼ)の数に驚き、甕壺の向こうに見える桜島と海の美しさに、思わず見惚れること間違いなし!見渡す限りの壺が並ぶ光景は、ここでしか見れない絶景ではないでしょうか?
写真は、空から見た重久さんの壺畑です。山の木々に囲まれ、目の前は一面の青い海。この自然の中に置かれた甕壺でつくられる黒酢づくりは、世界でも類をみないといわれる鹿児島ならではの製法です。
実際に壺畑の中に立つと、目の前の錦江湾の美しさに目が奪われここだけ時間の流れがゆっくりと感じる、とても心地のよい環境で甕酢はつくられているのがわかりました。
一般的なお酢(米酢)は、屋内に置かれたホーローやステンレスなど金属容器の中で温度を調節して、速醸(そくじょう)発酵を行います。この製法は4か月程でお酢になるのですが、甕酢は、酢になるまで1年以上の時間をかけて、一つひとつの甕壺の中で自然の温度と杜氏(とうじ)の手作業によって、熟成発酵をしながらつくられます。
杜氏は夏の暑い日も冬の寒い日も、壺畑の中を歩いてお酢の匂いと目でみて発酵の具合を確認しています。進みが遅いものは、丁寧に手をかけて発酵をさせます。おいしい甕酢になるまで、こうした丁寧な手仕事と、時間をしっかりかけて熟成発酵をさせるからこそ、深いコクと旨味のあるまろやかな香りのお酢になるのがわかりました。
5.驚きの仕込み風景
今年の春仕込みでは、「白井田七。甕」に使用される田七人参甕酢と、りんご甕酢の仕込みをお手伝いさせてもらいました。杜氏によって、甕壺の中に手際よく原料が入れられていきます。
甕酢は国産の玄米と黄麹、地下水という良質でシンプルな原料と、畑の中で育まれた土着菌の力を借りて発酵をして、豊富なアミノ酸や有機酸、ミネラルを含む、深いコクと旨味のあるお酢になります。
同じ福山地方でつくられる黒酢でも、醸造所によって原料の配合量が違うそうで、
甕酢のこだわりは、栄養のあるリッチなお酢にするために、通常より玄米の量を多めに入れているそうです。
そのぶん発酵の手間も掛かるのですが、より美容効果が高い「D-アミノ酸」の含有率が、他のお酢や食材等に比べて高いお酢になるそうです。美容業界からも注目を集め、化粧品の原材料としても使われています。
杜氏たちがそれぞれの甕の前に原料を並べていく中で、目を疑う驚きの光景がありました‼
見てください、このバケツ一杯の、田七人参の粉末‼
「1つの甕壺に、こんな大量の田七人参が入っているなんて!!!!」驚きながら記念に写真をパチリ。
いつも飲んでいる「白井田七」の粒からは想像もつかない量の、バケツ田七粉末に衝撃を受けました‼
このバケツ一杯の田七人参粉末は、生産者の白井さんがザバァァーと豪快に入れてくれました。
ここから甕壺の中で時間をかけながら田七人参甕酢となっていく、はじめの一歩となる衝撃の仕込み風景を激写させていただきました‼
通常の黒酢と、田七人参それぞれに含まれるアミノ酸量は、一緒に甕壺で熟成発酵をさせることで、アミノ酸含有量が最大238倍‼アップするという「田七人参甕酢」。ここから時間をかけて美味しい甕酢がつくられていきます。
鹿児島の自然の中でつくられる、「甕酢」はからだに優しく健康をサポートするおすすめの逸品です。
今年の夏は甕酢で夏バテ予防はいかがでしょうか?
大木