上海中医薬大学 日本校校長
冬風邪の養生法
12月に入り、寒さも本格的になりましたがいかがお過ごしですか?
今年も残すところあとわずかですね。
二十四節季の大雪(たいせつ)をむかえ、日本各地も行きが降り積もる時期と
なり、温かい食べ物がさらに美味しく感じる季節になりました。
冬の寒さに負けずに、新年を迎える準備をしていきましょう。
目次
冬と乾燥の繋がり
冬の強い寒気はシベリアから日本海を渡り、山を越え、太平洋側まで大雪を吹き降ろしますが、
真っ白な日本の雪化粧の風景は、まるで美しい純白の花嫁衣裳のようになります。
このような冬の寒気の時期は、空気中の水分が凍結されるため、空気全体が乾燥しています。
さらに暖房により、乾燥が一層進む時期です。
この時期になると気管支などの粘膜が乾燥・寒さによりウィルスや微生物が侵入しやすくなり、
風邪などの病気に罹りやすくなります。
その中で多くの人がかかる冬風邪の原因は、80%以上がウイルスに感染し、
風邪を引いた人の咳によって、1回の咳で10万個、1回のクシャミで200万個の飛沫が
空気中にばらまかれることが要因とされています。
マスクの着用や、手洗いうがいはもちろん大切ですが、冬の風邪は日頃のケアで予防は
出来るのです。
3つの養生ポイント
冬風邪の養生は風邪予防の栄養管理はウィルスなどと戦うための体力強化が
基本とされています。
①栄養補給
たんぱく質が豊富なお肉、豆腐、発酵食品の納豆、野菜、酵素、椎茸などバランス食品で、
これらの食材には豊富なビタミンC、A、B群ビタミンを含まれ、風邪予防に有効な成分です。
その他、「薬食同源」の言葉があるように、身近な野菜・果物などの薬効をうまく応用した知恵は、
役立つものも少なくありません。
- 唐辛子のお湯を用いて手足を洗うと四肢の冷え症に効果
- ニンニクを潰し、ミントと一緒にマスクに入れると、鼻づまりが解消
- 絞ったレモン汁に砂糖を少し入れるビタミンC補給レモンジュース
- レンコンのおろし汁にお湯とハチミツを合わせて飲む「レンコン湯」
- ハチミツとしょうがのおろし汁をお湯で割る「しょうが湯」
などのように、昔から身の回りにあるもので冬風邪に効果のある
ナチュラルな予防法を実践していたのです。
②自然治癒力を高める
免疫力を上げ、自然治癒力を高めることは健康なカラダを保つ上で
大事なことです。
- ストレスを溜めない、溜め込まないことで自律神経のバランスを取る
- 充分な睡眠をとる事で免疫機能を活発に
- カラダを冷やさないように、服装などの防寒着で体温の調整
- 栄養バランスのとれた食事
カラダをしっかり休め、栄養補給をすることで免疫力をあげ
自然治癒力があがってきます。
③生活習慣の予防
ウイルスなど病原体の侵入を防ぐ、マスクなどのアイテムを用いて、呼吸器の粘膜を
保護する生活習慣を養成することが大事です。
- 部屋を暖かくして乾燥を防ぎ、水分もこまめに摂る
- 十分な栄養と睡眠をとり、ウイルスに対する防御機能を高めること
- 手洗い・うがいを徹底する
- マスクを着用することによって、のどの乾燥をふせぐ加湿の効果
- 入浴でリフレッシュ、体力の温存とカラダを温める
- 皮膚の乾燥による水分不足を予防するため、クリームなどで保湿
また、口呼吸ではなく鼻呼吸を意識することも大事です。
口で呼吸すると外部からウイルスや細菌が侵入しやすくなります。
その点、鼻呼吸をすると鼻にある異物を探知する敏感な神経により、くしゃみで
異物の排除するため、鼻で呼吸することの利点は多いのです。
風邪におススメの漢方
養生を意識していても、免疫力が下がっていると風邪は引きやすいです。
そのため、プラスして体質・体調に合わせた漢方をプラスするこもおススメです。
補中益気湯(ホチュウエキキトウ)
人参などの生薬入っており、食欲を増し、気力・体力がアップします。
葛根湯(カッコントウ)
体を温めて発汗し、寒気に縮こまった体をリラックスさせて、体力の回復とともに
風邪を治してくれます。汗が出る分、水分補給が重要です。
小青竜湯(ショウセイリュウトウ)
悪寒、咳、鼻水が続いている時に、体調を整えるサポートをします。
麦門冬湯(バクモンドウトウ)
風邪の後期、のど乾いて激しい咳に体力アップと、潤いをサポートします。
風邪の症状や、体調に合わせて漢方薬で自然治癒力アップし、
明日の笑顔・健康を今日の養生で作っていきましょう。
上海中医薬大学附属日本校 矢尾重雄
上海中医薬大学 日本校校長