上海中医薬大学 日本校校長

 

暦上では夏も終え、季節は秋になりましたが皆さま

いかがお過ごしですか?

秋は乾燥の季節、本日は乾燥を乗り越え、潤いをアップをご紹介します。

 

 

 

肌と乾燥の関係

 

 

人の皮膚細胞は、平均28日間ですべて新陳代謝より新しい細胞に入れ替わります。

 

しかし、偏食・ダイエット・不規則な生活・喫煙などによって、体のバランスが崩れると、

皮膚細胞は栄養不足になり、乾燥肌になります。

 

そのため、十分な睡眠・体質にあった食事・ストレスを溜めないなどの、

養生法が乾燥防止で必要不可欠になってきます。

 

 

 

美と健康の研究者 西太后(せいたいこう)

 

 

中国の三大悪女として名高い「西太后(せいたいこう)」は清王朝時代に宮中に上がり

150年前より、漢方薬の長生不老(アンチエイジング)薬の秘方などを内服し、

洗顔や入浴にも漢方薬を用いていました。

 

山薬として滋養強壮・アンチエイジングに効果がある「山芋」で、胃腸を守り、肌のたるみ予防、

補血効果がある「黒胡麻」を食し白髪予防やめまい予防をしていました。

 

そのほか、たくさんの養生法を日常に取り入れていた西太后(せいたいこう)は

70歳の年齢でも少女の肌のように潤い、雪のような白い肌の状態を維持していたそうです。

 

日頃から養生に励んでいた西太后は世界最大の人口を持つ中華帝国に約半世紀の間君臨し、

当時の平均寿命(約40歳)の倍近くまで生き、絶大な権力を得て中国史の偉人となったのです。

 

その秘密は漢方薬と栄養のバランスだと言われ、西太后の養生法を彼女の死後に注目され

数多くの書物が出ているほどです。

 

 

潤い・乾燥予防食材

 

 

体の潤い・保湿・乾燥肌などのトラブルの防ぐ養生法には何を思い浮かべますか?

食材の種類は様々ですが、もっとも基本的な内容は以下の4点です。

 

1:タンパク質

 

 

タンパク質は摂取すると体内の消化酵素の処理により、最終的にアミノ酸まで分解し、

体内のタンパク質に生まれ変わります。

 

タンパク質はコラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸の生成にも原料として重要で、

不足すると肌の弾力やツヤやハリがなくなってしまいます。

タンパク質は肉類、魚類、卵、大豆製品、乳製品に多く含まれており、

ビタミンB群と一緒に摂取すると、たんぱく質の吸収率が高くなります。

 

 

2:オメガ系脂肪酸

 

 

種類の代表的なオメガ系脂肪酸は

αリノレン酸(ALA

エイコサペンタエン酸(EPA

ドコサヘキサエン酸(DHA

です。

 

オメガ3系脂肪酸は、筋活動、血液凝固、消化、生殖能力、細胞の分裂および成長など

多くの身体機能にとって重要な栄養素です。

オメガ3系脂肪酸はヒトの体内では産生できないため、食品またはサプリメントから摂取する

必要があります。

ALA源は主に亜麻仁油、大豆油やキャノーラ油です。

EPAおよびDHAは脂肪の多い魚(サケ、マグロ、マスなど)や

貝類・甲殻類(カニ、ムール貝、カキなど)などの海産物に含有されています。

 

 

3:脂溶性ビタミン類

 

 

ビタミンAEはともに美容と関連性高い脂溶性ビタミン類です。

 

ビタミンAは大きく分けると、

動物性食品に含まれる「レチノール」

緑黄色野菜に含まれる「βカロテン」

があります。

 

ビタミンAの美肌効果は肌の新陳代謝に欠かせない物質です。

上皮細胞や皮脂の分泌を促し、皮膚と粘膜の潤いを与える効果があり、

レバー、うなぎ、卵、ほうれん草、人参などの緑黄色野菜に多く含まれています。

 

Βカロテンを含む野菜は、レバーなどに含まれるレチノールとオリーブオイルなどの油で炒めたり、

肉と一緒に食べると美味しいです。

 

ビタミンEの主な生理作用は抗酸化作用で、生体内では細胞膜を酸化障害から守る重要な働き

担っています。

血行促進や肌のバリア機能の強化、細胞の新陳代謝が活性化、皮膚のカサつき改善をする効果も

期待できます。

紫外線などの外的刺激から肌を守り、抗酸化作用、細胞ダメージを防ぎ、健やかな肌へと導くため、

「若返りのビタミン」とも呼ばれるています。

ごま、アーモンド、ナッツ類、大豆、アボカド、すじこ、あんこうの肝など食材に多く含まれています。

食品から毎日この量を摂取するのは難しい為、サプリメントで摂取などでバランスをとることが

おすすめです。

 

 

 

4:水溶性ビタミン群

 

 

ビタミンB群中に、ビタミンB2B6は肌に深く関係しています。

不足すると、上皮細胞の新陳代謝が遅れ、皮膚の免疫機能低下することにより、

肌の乾燥やシミ、ニキビなどの肌荒れが起きやすくなります。

 

B6タンパク質の代謝吸収促進、女性ホルモンのバランスを整える働きがあるため、

ホルモンバランスの乱れは肌トラブルを招くので、積極的に摂取が大切です。

ビタミンB群はレバー、牛肉、豚肉、チーズ、牛乳、さんまやまぐろなどの魚類、卵、

大豆製品などの食材に多く含まれます。

ビタミンB群は水溶性のため、1日に必要な分量以外は、尿とともに排出されてしまい、

体内に蓄えておくことができない為、日々摂取が必要です。

 

ビタミンC抗酸化作用、コラーゲンの生成作用があります。

ビタミンCが不足すると、コラーゲンが合成できないために、壊血病を発症し、

貧血、筋肉減少、心臓障害、呼吸困難など重篤な障害を招くことがあります。

また、ビタミンCは皮膚のメラニン色素の生成を抑え、日焼けやシミを防ぐ、ストレスやかぜなどの

病気に対する抵抗力を強める働きがあります。

近年では、癌・動脈硬化の予防、老化防止にも有効であることが期待されています。

人はビタミンCを合成する酵素がなく、食事から摂取しなければなりませんが

ビタミンCは熱に弱いため、フルーツや野菜はなるべく生で食べるのがビタミンCの摂取に理想的です。

野菜を加熱調理する場合は、なるべく短時間ですませましょう。

 

 

正しい食事と睡眠は、養生美容の肝要

 

 

毎日の生活において、バランスのよい規則正しい食事と睡眠はとても大切です。

新鮮な魚や肉を使ったメイン料理に合わせて、野菜やみそ汁などの副菜を添えれば元気になります。

基本的に毎日三食を心がけ、食事を抜いたり、過食もなどの不規則な食事バランスは禁物です。

毎日栄養のバランスが取れた食事を摂るようにすることで今後の体づくりの源になります。

その土地の、その時期の旬のものを食べて、養生することは、日本人である私たちにとってはすごく

大切なことです。

 

秋の果物

冬の火鍋

春の旬野菜

夏のスープ

などの薬膳料理と併せて、タンパク質やビタミン類が摂取でき、身体に必要な栄養素が

バランス良く揃い、薬膳の道引(導)きによって、潤い肌をつくる基本条件はすべて満たしています。

 

これに加えて、こころの余裕と良い化粧品のスキンケアがあれば、乾燥肌などの肌トラブルを防ぐ

最高の養生法になります。

 

乾燥の秋を心と体の養生で、楽しく過ごしていきましょう。

 

上海中医薬大学附属日本校

八尾校長

 

 

上海中医薬大学 日本校校長